ひろ「うん。ある日にね、おじいちゃんはそのことに気がついたんだ。人はみんないつか旅に出るって。そう考えると、宇宙に行く不安がどこかにいってしまったよ。むしろ1分1秒でも早く、自分の子供の頃からの夢だった宇宙に行かなきゃって思えたくらいだ」
美琴「そうだったんだ。おじいちゃんは怖かったけど、宇宙に出発して夢が叶ったんだね」
ひろ「そうだよ。地球からの移民船に乗ってね。あとね、宇宙に来たおかげでもっと良いこともあったよ」
美琴「良いこと?」
ひろ「そう。このコロニーでね、素敵なお嫁さんを見つけたんだ」
美琴「お嫁さん?・・・あ!もしかして、ふみおばあちゃんのこと?」
ひろ「そうだよ。たまたま宇宙で出会って、同じ時代を共に生きて。まさに奇跡みたいだよね」
美琴「うん!すごいね」
ひろ「美琴はどうかな?何か夢はあるかい?」
美琴「夢?あるよ!私はね、歌手になってみたいな!」
ひろ「歌手か、それは良いね。美琴ならきっとなれるよ」
美琴「私ね、太陽系のみんなに向けて歌を歌うんだ。でね、私の歌でみんなを元気にするの」
ひろ「それはすごい、楽しみだね」
美琴「おじいちゃんは、コンサートのステージの真ん中に招待するね!」
ひろ「ステージの真ん中?ハハハ、それは面白そうだ。楽しみだね」
美琴「・・・ねぇ、おじいちゃん」
ひろ「ん?なんだい?」
美琴「おじいちゃんも、いつか旅に行っちゃうの?」
ひろ「・・・おじいちゃんは行かないよ、美琴のコンサートを観に行きたいからね」
美琴「うん、ありがとう!絶対だよ?約束だよ?」
ひろ「あぁ、約束するよ」
目次
Eigo Studios @note
【短編小説】未来の手紙 ~想い、時を越えて~ をはじめ、これまでの作品をEigo Studios @noteにて公開中!*
*Eigo Studios:Yusuke Eigoの創作サブスクです。
登場人物
・美琴:ひろの孫。小学生。冥王星第3スペースコロニー在住。歌うのが好き。
・ひろ:美琴の祖父。地球から宇宙へ移民船に乗って移住した。
・ふみ:ひろの妻。美琴の祖母。
*本作品の著作権は著者(Yusuke Eigo)に帰属します。無断転載はお控え下さい。